身代わり依頼は死人 桜門へ ~死人の終わらない恋~
「………やる。身代わり依頼の仕事、やる」
海里が意を決し、強い視線で桜姫を見据える。
と、彼女はその答えを聞いた瞬間。
希望に満ちた瞳を見せ、そして恐ろしく綺麗で恐ろしさを隠さずにニヤリと笑った。その瞬間、海里の背中はゾクッと震えた。
自分はまずい取引を受けたのではないか。そんな恐ろしさを感じた。
「やはり受けてくれるか!やはりおまえはいい男だ。女も喜ぶだろう」
「………まって………」
「死んでもなお見守れる唯一の方法。身代わりの仕事を頼まれるのはそんな唯一の存在。誇りに思え」
「で、でも……やっぱり俺にそんな仕事が出来るかな………」
「身代わりの依頼がきたら、おまえがやるかやらないかを決めればいい。身代わりの任に選ばれし者が決めた事が全て現実になり正しいのだから。……私もそうやってきたのだ」
戸惑う海里をよそに、桜姫はそう教えると、にっこりと笑った。聞く耳などもたないという雰囲気になってしまい、海里はますます不安になる。けれど、その間にも彼女は次々に話をすすめていく。
「ではまずは、身代わり依頼をこなそう。女の病気を、海里。おまえに移す」
そう言うと、海里の周りに桜の花びらが集まり、舞い始めた。桜姫の姿が見えなくなるぐらいに花びらに囲まれる。と、同時に体の奥が熱くなった。
「っっ!?ごほっ……っっごほっ……く……くるし………」