身代わり依頼は死人 桜門へ ~死人の終わらない恋~
「神ではない。俺が身代わりになるわけではないからな。……願ったものが身代わりになる。まぁ、移行すんだ。それを俺が実行するだけだ」
「身代わり………」
桜門の話を聞いて、文月はやはり、と思った。彼が話す通りに人間では到底出来ないような事象を出来る存在であるのならば、祖母が死んだ理由も彼が把握している、というのが濃厚だとわかった。
文月はすぐに彼にそれを問いただそうと口を開く、がそれを見て桜門はゆっくりと頷いた。
「おまえが聞きたいことはわかっている。みき子の話だろう?」
「はい………」
「みき子の願いは、孫であるおまえ、文月の病気を変わりに引き受けたい、だった。だから、みき子は私の前に現れた。みき子がそれを強く望んだから」
あぁ。
やはりそうなのか。
祖母はそんな事を願ってしまったのか。
文月は、あの痛みや苦しみを感じながら祖母が死んでいった事を。
自分のせいで祖母が死んだ事を改めて突きつけられて、心の奥がグサリと何かに刺されたように痛かった。
けれど、こんな痛みなど、あの病気の苦しみに比べればどうって事はないのだ。苦しんで祖母は死んだのだから。
悲しみはあっという間に、怒りに変わる。
どうしようもない悲しみは、怒ることで消そうとしているのだと、文月自身もわかっていた。けれど、それでも止められないのだ。