身代わり依頼は死人 桜門へ ~死人の終わらない恋~
「そうか……だから大学も辞めたんだな」
「うん。入学する前けど、4年間も学費払えるかわからなかったし。父さんが残したお金もあんまり使いたくなかったしね」
苦い顔を見せながら姫白がそういうと、黒夜は「そんな状態なら連絡なんて出来なかったな。悪かった」と、申し訳なさそうに言った。
2人は同窓会の会場に戻り、カウンターに座ってひっそりと話していた。盛り上がっているのは1部のようで、他はグループに別れて真剣に話をしている。やはり、懐かしい場所に居れど、もう大人なのだから、話しも落ち着いたものになっているようだ。
「SNSで見たけど、作品とっても素敵だね」
「どれが好きだ?」
「あの夕暮れの帰り道の絵かな!部活帰りの道に似てるなーって」
「そうだよ。やっぱりわかったか」
「え、あの道なんだね!すごく懐かしい気持ちになったから」
黒夜がサイトに載せていた絵は、銀杏並木が夕暮れ色に染まっている景色だった。黄色の葉が透けて赤く色が混ざった景色はとても綺麗だった。
「紅茶色、だろ?」
「え!?覚えてたの……恥ずかしいな……」
「その表現が好きで、頑張って色を再現したんだ。おまえにも気に入って貰えて嬉しいよ」
「うん………」
自分の事を思い出して描いてくれた。
それが嬉しくも気恥ずかしく、姫白ははにかみながら返事をした。