身代わり依頼は死人 桜門へ ~死人の終わらない恋~
19話「安心する冷たさ」
19話「安心する冷たさ」
☆☆☆
苦しい。
胸が苦しくて、呼吸が出来ない。咳のし過ぎで胸がキリキリ、のどがヒリヒリとする。
久しぶりの感覚。
あれ?おかしいな。私、病気が治ってなかったのかな。
体の表面は寒気を感じるのに、体内は焼けるように熱い。
けれど、何故か額は冷たくて気持ちがいい。
苦しさと少しだけの心地よさを感じながら、文月はゆっくりと目を開けた。
「…っっ!?」
「あなたは………?」
文月が寝ている傍に見知らぬ男の子が座っていた。目覚めた文月に驚き、目を大きくしている。その瞳は黒色で夜空のように澄んでいた。そして、ボサボサで汚れが目立つが透明で透き通るような銀色の髪と、傷だらけの肌。そして、ずっと汚れ果てててボロボロの服。
見た事があるはずなのに、何故か思い出せない。