身代わり依頼は死人 桜門へ ~死人の終わらない恋~
「.....え....えっ……な、なんで……!」
先程の出来事は夢だったのだろう。
それはすぐにわかった。
けれど、この現実は夢ではないはずだ。
目を覚ますと、そこにはすやすやと眠る桜門の姿があった。
そう銀髪に和装の男。桜門だ。
桜門が体を動かすと、金属同士がぶつかる音が響く。寝ている時でも、宝石は外さないようだ。と、いうのはどうでもいい事だ。
「どうして、桜門さんがここで寝てるの」
文月がおろおろしながら、ベットから起き上がった。
だが、シングルの安くて小さいベットだ。そのためギシッと大きく軋む音が響いた。
その音で桜門の体が動き、瞼が震えた。
「ん...なんだ。やっと起きる時間か。俺は待ちくたびれたぞ」
「な、なんで桜門さんがベットで寝てるんですか?!」
「おまえが触れているものなら俺も触れると教えたばかりだろう?」
「そうじゃなくて、何で私の部屋に居て、ベットで寝ているんですかって聞いてるんですよ!」
話しが噛み合わないので、つい朝から大きな声を出してしまう。
桜門は目をこすりながら起き上がり、少しはだけてしまった着物を直しながら、大きくあくびをした。