政略夫婦の授かり初夜~冷徹御曹司は妻を過保護に愛で倒す~
 診察の後、別室へ移動して体重測定や採血を行なっている間、考えてしまうのは赤ちゃんのことばかり。

「お疲れ様でした。では、待合室でお待ちください」

「はい」

 診察室を出ると、待合室で私を待っていた美香は立ち上がって駆け寄ってきた。

「未来、どうだった?」

 ハラハラした顔で私の答えを待つ美香に、笑顔で伝えた。

「妊娠、七週目だって」

「七週目って……嘘」

 ポツリと呟くと、美香は目を潤ませて大粒の涙を流した。

「未来がママになるなんて……っ! おめでとう~!」

 静かな待合室で泣き出した美香に、ギョッとなる。

「ちょ、ちょっと美香」

 何事かと私たちは注目の的。だけど美香が自分のことのように喜んでくれたのが嬉しくて、私まで泣きそうになる。

「ありがとう、美香。……だけど一度落ち着こうか」

 宥めるように彼女の肩を撫でると、やっと美香も注目を集めていることに気づいたようだ。

「すみません」

 小声で周囲の人たちに謝る美香と目が合うと、どちらからともなく笑ってしまった。
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