政略夫婦の授かり初夜～冷徹御曹司は妻を過保護に愛で倒す～

「だけど本当に信じられないなー。未来がママになるなんて」

　病院を後にしてマンションへ戻るタクシーの中で、美香は感慨深そうに言う。

「それに未来、病院に来る前とはまるで別人みたい。もうすっかりママって感じ」

「そう、かな？」

　自分ではわからない。

「でも不思議とね、病院に来るまではこれからどうなるんだろうって不安でいっぱいだったのに、赤ちゃんがいるってわかったら自分でも不思議なほど不安が消えちゃって……」

「そっか」

　お腹を擦っていると、優しい気持ちになる。

「そういえばお姉ちゃんも言ってたなー。子供がいたら、女は自然と強くなれるんだって。未来もそうなんだろうね。私にできることなんて少ないだろうけど、なにかあったらいつでも頼ってね。私は未来の味方だから」

　そう言うと美香は、こちらを見て目を細めた。

　本当に美香がそばにいてくれて私は幸せだ。美香という親友に出会えてよかった。

「ありがとう」

　そして、美香にだからこそ、今の自分の素直な気持ちを聞いてほしい。