政略夫婦の授かり初夜~冷徹御曹司は妻を過保護に愛で倒す~
 そうだ、自分の願いを叶えるためには行動を起こさなければならない。努力なくして幸せになどなれないんだ。

「さっきも言ったけど、私ならいつでも力になるからね」

「うん、ありがとう」

 美香は私をマンションまで送り届けると、「今日はゆっくり休んでね」と言って帰っていった。

 ここ最近、ずっと食欲がなくて吐き気に悩まされていたというのに、今は落ち着いている。
 ソファに座ってスマホを確認するも、新着メッセージも不在着信もない。

「今日も連絡なし、か」

 出張に出てから、彼とは一度も連絡を取り合っていない。なにかあったら連絡をしてって言われたけれど……。
 弦さんの連絡先を呼び出して手が止まる。

「なにから話せばいいんだろう」

 そもそも電話で言うことではないよね。妊娠していることも、好きって伝えることも。

 スマホをテーブルに置いて、ゆっくりと横になる。

 弦さんはどんな反応をするだろう。子供ができたって言ったら、喜んでくれるかな? でも私が好きって言ったら? 同じように喜んでくれる?

 そんなことを考えていると眠気に襲われ、いつの間にか眠ってしまった。
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