政略夫婦の授かり初夜~冷徹御曹司は妻を過保護に愛で倒す~
 美香の言う通り、きっかけはどうであれ、弦さんは私と結婚してくれた。最後に同じ気持ちになってもらえばいい。
 どうしたら弦さんは、私を好きになってくれるんだろう。

 瞼を閉じると、彼と初めて会った日に言われたことを思い出す。

『両親がそうであったように、俺も家を他人に任せるようなことをしたくない。だから結婚後は家政婦などを雇うことなく、家事などは俺とふたりでやってほしいんだ。それさえ了承していただけるのなら、今すぐにでも結婚の話を進めさせてくれ』

 弦さんが私に求めた結婚の条件は、家事をしてくれることだった。それに関しては、クリアできていると思う。

 だけど弦さんが好きな女性は? 家事ができることは、結婚する相手に求めていることであって、恋人に求めていることではないよね?

 それはわからないけれど……これだけはわかる。彼に愛される女性は幸せだということ。

 これまでの弦さんとの日々が頭を駆け巡る。

 優しくて一緒にいると心地よくて、結婚してから私はずっと幸せだった。
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