政略夫婦の授かり初夜~冷徹御曹司は妻を過保護に愛で倒す~
「なにをおっしゃいますか。こちらに来てからというもの、暇さえあればスマホを見ていましたよね? 仕事以外のことは干渉しないつもりでしたが、仕事に支障をきたすようでしたら黙って見過ごせません。……そんなにお悩みになるほど、奥様となにがあったんですか?」

「どうして未来となにかあったとわかった?」

 困惑しながら聞くと、竹山は深いため息を漏らした。

「専務がお仕事以外のことで悩むとしたら、奥様のこと以外ございません。タイミングよくこれから会食予定だった社長の秘書から、社長の体調不良を理由にキャンセルのメールが入りました。ですのでどこかで食事をしながら専務の悩みを聞いて差し上げましょう」

 言葉に棘を感じる竹山の話しかたにムッとなるも、俺ひとりではどんなに考えても答えが出ない問題だ。

「じゃあ頼む」

「かしこまりました。近辺でゆっくり食事ができる場所を直ちに探します。そこで少し身体も休ませてください。申し訳ございません、少々予定を詰め込み過ぎました」

 そう言うと竹山はタブレットで検索し始めた。
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