政略夫婦の授かり初夜~冷徹御曹司は妻を過保護に愛で倒す~
 できることなら会いたくない。でも親子だもの。一生会わずにはいられない。それに両親にとって生まれてくるこの子は孫にあたる。初孫だもの、喜んでくれるかもしれない。

 グルグルと思いを巡らせていると、弦さんが心配そうに言った。

「未来は体調が悪いと言い、やはり俺が会って伝えてこよう」

「えっ?」

「変に気を遣って疲れるだろ? お腹の中の子にも悪い」

 いいの? 本当にそれで。両親と一緒に暮らす家が嫌で逃げるように結婚して、このままずっと逃げ続けたままで。

 子供を授かったことで、もしかしたら両親との関係にも変化が生じるかもしれない。

「平日の夜にでも、未来の実家に行ってくるよ」

「あの、やっぱり私も一緒に行ってもいいですか?」

「え……でも大丈夫か?」

 思い切って言うと、弦さんは戸惑いながら聞いてきた。そんな彼を安心させるように笑顔で自分の想いを伝える。

「私は両親に愛されることはなかったですが、生まれてくる子は違うかもしれません。それにこの子をきっかけに、両親といい関係を築けるかもしれないと思って」
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