政略夫婦の授かり初夜~冷徹御曹司は妻を過保護に愛で倒す~
 よく子供と孫に対する愛情は違う、孫を可愛がる祖父母が多いと聞くもの。うちの両親も私に愛情を抱かなくても、この子なら違うかもしれない。

「この子は私と弦さんにはもちろん、みんなに愛される子であってほしいんです」

 まだ膨らみも少ないお腹を撫でると、自然と愛しさが込み上がる。
 この子にだけは、絶対に自分と同じつらい思いをさせたくない。

「でもひとりで行くのは怖くて……。すみません、弦さん。一緒に行ってくれませんか?」

 弦さんが隣にいてくれたら大丈夫、怖くない。勇気を出すことができるの。だけど甘えすぎだろうか。

 不安になると弦さんの口は優しい弧を描いた。

「もちろんだ。俺がついている。……正直、これ以上未来にはつらい思いをさせたくないが、未来が望むなら力になる。ご両親から全力で守るよ」

 大好きな人が味方になってくれたら、これ以上心強いことはない。

「ありがとうございます」

 胸がいっぱいになり、声が震えてしまう。
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