政略夫婦の授かり初夜~冷徹御曹司は妻を過保護に愛で倒す~
 不安になっていると、弦さんは私を抱き寄せる腕の力を強めた。

「これでワガママを言っているつもりか? むしろ俺は未来にはもっとワガママになってほしいよ。たとえばそうだな、家を一軒買ってくれっていうくらい」

 おどけて言う彼に、思わず笑ってしまった。

「それは言えませんよ」

「いいんだよ、言っても。未来の願いなら、どんなことでも叶えてやりたい」

 弦さんはどこまで私を甘やかすのだろうか。愛されて幸せだと思う反面、怖くもなる。この幸せがいつか壊れてしまわないかと。

 ギュッと彼にしがみつくと、弦さんは「本当に可愛いな」と言って優しく髪を撫でてくれた。
 すると自然と恐怖心も薄れていくから不思議だ。

 弦さんも私と同じように、幸せだと感じてくれているだろうか。

 私も彼のことを愛して幸せにしたい。こんな私でもそれができると信じてもいい?

 顔を上げて弦さんを見つめれば、気づいた彼は柔らかい笑みを漏らした。

「未来……」

 愛しそうに私の名前を呟くと、縮まる距離。キスだ。

 私もそっと瞼を閉じて、その瞬間を待つ。
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