政略夫婦の授かり初夜~冷徹御曹司は妻を過保護に愛で倒す~
 すぐさま突っ込みを入れた弦さんに、お義父さんとお義母さんは声を上げて笑った。

 恥ずかしくて居たたまれないけど、でも嫌じゃない。うまく表現できない心地よさに包まれる。

「ほら、昼飯食いに行くんだろ? だったらさっさと行こう。言っておくが、あまり遠くは無理だからな。未来の身体が心配だ」

「もちろんよ。近くの洋食屋を予約したの。個室でゆっくりできて、料理もおいしいのよ」

「未来さんも気に入ってくれると思うぞ」

 お義父さんとお義母さんおすすめの洋食屋は、本当においしくてなによりゆっくりと会話を楽しめる素敵なお店だった。

 オーナーとお義父さんは仲が良いようで、私が妊娠したことを祝いたいと伝えると、急遽ケーキまで用意してくれたのだ。

「未来ちゃん、初めての妊娠出産で不安なことや、大変なことが多くあると思うわ。その時は弦だけじゃなく、遠慮なく私たちのことも頼ってね」

「未来さんは私たちの娘だ。親には気を遣うことなく甘えてほしい」

 ふたりに温かな言葉をかけてもらい、泣いてしまったのは言うまでもない。
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