政略夫婦の授かり初夜~冷徹御曹司は妻を過保護に愛で倒す~
「今日は早く寝よう。おやすみ、未来」

「おやすみなさい」

 そっと額にキスをされ、大好きな人に抱きしめられたまま眠りに就く。

 明日、どんな一日になったとしてもこのぬくもりに包まれて眠れるのなら構わない。

 とにかく両親に妊娠の報告をすることだけを考えよう。そしてできることなら、少しでも私との関係が変わることを願う。

 瞼を閉じるとすぐに睡魔に襲われ、私は意識を手離した。


 次の日、十時に家を出て弦さんの運転する車で向かった先は長年暮らし続けた家。
 実家に帰ってきたんだもの、ホッとするとか懐かしむのが普通なのに、私の場合は家に入る前から息苦しさを覚える。

「大丈夫か? 未来」

 車を施錠すると、弦さんは寄り添うように私の隣に立った。

「今ならまだ引き返せる。無理することはないんだぞ?」

 どこまでも優しい弦さんのおかげで、身体の緊張も解ける。
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