政略夫婦の授かり初夜～冷徹御曹司は妻を過保護に愛で倒す～

「大丈夫です。すみません、心配かけて。行きましょう」

　小さく深呼吸をして、手入れの行き届いた庭先を眺めながら、彼とともに玄関へ向かう。

　インターホンを押すと、少しして家政婦が応対した。

「ようこそ西連地様、そして未来お嬢様。旦那様と奥様がお待ちです。ご案内いたします」

　予想していたことだけど、出迎えてくれたのは両親じゃなくて家政婦。弦さんのご両親は、ふたり揃って私たちを出迎えてくれたというのに……。

　違いに悲しくなりながら家政婦の後を追うと、二階に続く階段から敬一が駆け下りてきた。

「おかえり、姉さん！」

　勢いそのままに敬一は私に抱きついた。

「きゃっ!?」

「未来！」

　よろめき転びそうになった私を慌てて弦さんが抱きとめた。

「大丈夫か？　未来」

「はい、すみません」

　私の返事を聞き安心した顔を見せたかと思ったら、弦さんはびっくりして私から離れた敬一に鋭い目を向けた。