政略夫婦の授かり初夜~冷徹御曹司は妻を過保護に愛で倒す~
「ちゃんと美香の質問に答えるから、まずは注文しない?」

「そうだったね。どれにしようか」

 ふたりでメニュー表と睨めっこし、迷いに迷ってそれぞれナポリタンと、明太子のクリームパスタセットを注文した。

 先にアイスティーが運ばれてきて、それを一口飲むとさっそく美香が聞いてきた。

「それでどうなの? 赤ちゃんのことを教えてよ」

「そうだな、赤ちゃんの胎動って思っていた以上に激しくて、びっくりしたの。思いっきり蹴るんだもの」

「元気いっぱいなんだね」

「そうみたい、わんぱくな子なのかも」

 笑いながら話を続けた。

「お腹が大きいと腰が痛いし、それに寝返りをうつのも大変でさ。でもその分、お腹の中に赤ちゃんがいるんだって感じることができるの」

「そっか」

 私の話を聞いて美香は、にっこり微笑んだ。

「未来ってば、すっかりママの顔をしているね」

「そうかな?」

 まだ自分が親になるって実感が湧かないでいる。正直、ひとりの人間を立派に育てられるのか不安もある。

 だけど育てるのは私ひとりじゃない。弦さんにお義父さん、お義母さん。それに最近は頻繁に遊びに来ている敬一だっている。

 頼れる存在がたくさんいるから、赤ちゃんと会える日が楽しみなんだ。

 注文したランチセットが運ばれてきて、私たちはさっそくおいしいパスタに舌鼓を打つ。
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