政略夫婦の授かり初夜~冷徹御曹司は妻を過保護に愛で倒す~
「私もすまなかった。……謝ったからといって、これから私たちと親子関係を築いてほしいとは言わない。縁を切りたいと言うならそれでもいい。ただ一度だけ親らしいことをさせてくれ」

「あなたにとったら都合のいい話と思われるだろうけど、私たちはなにもせずにいたら後悔すると思ったの。……出産するまでサポートさせてちょうだい」

 お父さん、お母さん……。

 もう二度と会わなくてもいい。両親はいないものと思うとまで考えていたのに。会ってこんな話をされたら心が揺れる。

 そして願ってしまう。謝ってくれなくてもいい。生まれてくるこの子を愛してほしいと。

「お願いがあります」

「なんだ?」

 震える声で言うと、お父さんとお母さんは私の答えを待つ。そんなふたりに素直な想いを伝えた。

「生まれてくるこの子には、私のようなつらい思いをさせたくないんです。みんなに愛されて幸せに育ってほしいんです。だからどうかこの子には孫として愛情を注いであげてください」

 私のことは嫌いなままでも、憎まれたままでも構わないから。

「未来……」

「お願いします」
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