政略夫婦の授かり初夜~冷徹御曹司は妻を過保護に愛で倒す~
 それから俺たちは未来が乗りたいと言う絶叫マシンを中心に、次々と巡っていった。

 最初はいつものようにぎこちなかった未来だけど、アトラクションに乗れば乗るほどよほど楽しいのか、無邪気に笑うようになった。

「弦さん、次はあれに乗りたいです」

「あぁ」

 ずっと俺が未来の手を引いていたというのに、いつの間にか未来が俺の手を引いて先を行く。

 彼女の小さな背中を見ながら歩くのは、なんとも不思議な気分だった。

 目的のアトラクション乗り場に着くと、やはり長蛇の列ができている。最後尾に並ぶと時折聞こえてくる叫び声に、未来はわくわくしている様子。
 その様子を微笑ましく眺めていると、なぜか急にハッとして青ざめた顔で俺を見た。

「すみません」

「なぜ謝る?」

「だって私、すごくはしゃいでしまいましたし、弦さんのことを振り回していますよね?」

 そっか、はしゃいでいるという自覚はあるんだな。きっとそれだけ楽しんでくれているということ。それなのに嫌に思うはずないのに。
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