政略夫婦の授かり初夜～冷徹御曹司は妻を過保護に愛で倒す～

　私はなんて幸せ者だろうか。義理の娘という立場なのに、ここまで気にかけてもらえるなんて……。

「ありがとう、ございます」

　声を震わせながらもどうにかお礼を言うと、お義父さんとお義母さんは微笑んだ。

「未来ちゃん、ゆっくりでいいから私たちと家族になっていきましょう」

「これからはもっと一緒に過ごす時間を作ろう。そうだ、今度はぜひうちに遊びに来てほしい」

「そうね、今度は私たちが精いっぱいもてなすわ」

「……はい！」

　嬉しくて笑顔で返事をすると、弦さんはポンと私の頭を撫でた。びっくりして隣を見れば、優しい目を向けていた。

「ふたりで今度、行こう。ゆっくり俺たちと家族になってくれ」

「は、い」

　どうして弦さんはこんなにも優しくしてくれるんだろう。彼にとって私は、ただの政略結婚の相手ではないの？

　疑問を膨らませていると、弦さんの表情は一変。お義父さんに向けて鋭い眼差しを向けた。

「それと言っておくが、未来と喧嘩することなんてないから。たとえ喧嘩したとしても、父さんたちのところには行かせない。……その前に俺から謝るさ」

　それはつまり、喧嘩の原因が私にあるとしても弦さんから折れるってこと？

　理解したところでお義父さんとお義母さんは声を上げて笑い出した。