政略夫婦の授かり初夜~冷徹御曹司は妻を過保護に愛で倒す~
「あの、いいんでしょうか? ……お義父さんとお義母さんに本当の娘のように頼ったり、甘えたりしても」

 心臓をバクバクさせながら聞いた私に、ふたりはすぐに答えてくれた。

「そうしてくれると私たちも嬉しい」

「私ね、ここだけの話、本当は女の子が欲しかったの。だから娘ができて嬉しいの。未来ちゃん、今度ふたりで出かけたりしましょう」

「それはいい。弦がいなくても実家にいつでも来てくれてもいいよ。弦の幼い頃の写真など見せてやろう」

「そうね、弦がいたら絶対見せちゃだめって言うだろうし」

 盛り上がるふたりの前で、私はこらえ切れず涙が零れ落ちた。

「どうしたんだ? 未来さん」

「やだ、私たちなにか嫌なことを言っちゃったかしら」

 慌て出すふたりに対して首を横に振った。

「違うんです、すみません。……嬉しくて」

 溢れる涙を拭い、真っ直ぐにふたりを見つめる。

「ありがとうございます。こんな私ですが、末永くどうぞよろしくお願いいたします」

「未来ちゃん……」

 深々と下げた頭を上げると、驚くことにお義母さんまで目に涙をいっぱい溜めていた。
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