政略夫婦の授かり初夜~冷徹御曹司は妻を過保護に愛で倒す~
 今日からしばらく会えなくなるから……と言われて昨夜抱かれたけれど、今までのような幸福感を感じることができなかった。

 きっとあの行為もなんの気持ちもない。後継ぎを作るためのものなんだと思うと、何度も泣きそうになった。

 フラフラした足取りでリビングに戻り、ソファに腰を下ろす。

 家事をしなくてはいけないのに、身体がだるい。今日からしばらく弦さんがいないから、余計にやる気が起きないのかも。

「今日はいいかな、ゆっくりしても」

 この三日間、弦さんのことばかり考えてしまい、まともに寝ていない。

 弦さんが出かけたからかな、急に睡魔に襲われる。

 そのまま横になり目を瞑ると、すぐに私は眠りに就いた。


 目が覚めると、お昼を過ぎていた。だいぶ寝てしまっていたようだ。

 だけど寝たおかげですっきりした。お昼ご飯はなにを食べようかな。

 いつも朝の残りや簡単なもので済ませている。今日も朝に炊いたご飯と作った味噌汁が残っているし、お漬物もある。冷蔵庫に納豆が入っていた気がするんだけど……。
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