同期の御曹司様は浮気がお嫌い

けれど日が落ちても夜中になっても優磨くんは帰ってこなかった。
着信音が聞こえると優磨くんかと思って急いでスマートフォンを手に取る。けれど『下田浩二』の文字を見てめまいがする。そのまま下田くんを着信拒否に設定する。アドレス帳から下田くんを完全に削除した。

それでも問題が解決したわけではない。LINEをブロックしてしまうと彼がどんな行動に出るかわからないからできない。

私には大きすぎるベッドに寂しく横になると涙が出てきた。優磨くんのぬくもりを求めるようにシーツを握る。自分が今までどれだけ優磨くんに依存していたか思い知る。

私たちはこのまま終わりなのだろうか。優磨くんと離れたら私はまたボロボロになる。



◇◇◇◇◇



『うまく言葉にできないのでLINEします。下田くんに不倫した過去をばらすと脅されてお金を要求されていました。だから優磨くんには言えませんでした。ごめんなさい。話がしたいので帰ってきてください』

言えなかった本当のことをLINEで伝えた。
こんなことを言いたくなかったけれど、私にとって一番堪えられないことは優磨くんを傷つけたことだ。

けれど数日たってもメッセージは既読にならず、電話に出てくれることもない。

優磨くんは今何を思っているのだろう。もう私の話を聞いてくれる気はないのだろうか。顔も見たくないから帰ってこないのだとしたら、私たちにはもう未来はない。

毎日夕食を作っても優磨くんが食べてくれることはなく、起きると変わらずラップをかけたお皿がテーブルに置いてある。

「一緒に食べるって決めたじゃない……」

同居するときに食事は一緒にと決めた。それなのに言い出した本人が破るのか。

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