同期の御曹司様は浮気がお嫌い

「優磨くんのそばにいると不安になる……」

「不安って?」

「また私の前から消えちゃうんじゃないかって……」

「そんなこともうしないよ!」

「一緒にご飯を食べるって約束も……朝起きてテーブルに残ったままのご飯を見るのは悲しかった……」

「ごめん……後悔してる。あの時は怒りでいっぱいで帰れなかった。でも信じて! 俺はもう離れない!」

「泉さんや美麗さんに言われて初めて私の状況に目を向けたのに?」

「それは……」

優磨くんは気まずそうに下を向く。

「LINEもずっと読んでくれなかった。信じてほしかったのは私だよ……」

「ごめん……」

「困ってる状況を話そうとしたら優磨くんは拒んだ」

「そうだね……冷静になれなかった。波瑠が浮気したんだって決めつけるしかできなくて……」

「今こうやって本当のこと知ってもらえてほっとした。でも私は弱いから、いつまでも怖くなる。優磨くんと離れるのは辛いって私だって嫌でも分かった。だからもう深い関係になるのが怖い」

最後に「ごめんなさい」と呟いた。

「波瑠はいつも俺に謝るね。そうさせてごめん……」

優磨くんの目も潤んでいる気がする。

「これからは波瑠の言葉を信じるし、俺も信じてもらえるように努力する」

「…………」

何も言葉を返せず頭を左右に振った。拒絶された苦しみを忘れられない。

私は横に置いたカバンを手に取り立ち上がった。

「今日来てくれて、助けてくれてありがとうございました」

いつも私を助けてくれることには本当に感謝している。
テーブルを離れようとしたとき、優磨くんも立ち上がり「待って!」と私の腕を掴んだ。その瞬間優磨くんに拒絶された記憶が蘇った。

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