同期の御曹司様は浮気がお嫌い
「ちゃんとご飯食べるんだよ。これからも変わらず身だしなみは整えてね。髪がボサボサだと優磨くんの魅力が台無しだから。あと、泉さんにあんまり心配かけちゃだめだからね」
私の言葉一つ一つに優磨くんは頷く。
「今日の優磨くんに驚いたけど、すっごくカッコよかったよ」
「波瑠……」
「さようなら優磨くん。あのお見合い写真の方と幸せになってね。元から決まってるお相手なら優磨くんを裏切らないし、ずっとそばにいて支えてくれるから」
背を向けて歩き出す。優磨くんの手が私に向かって伸びたけれど、途中で引っ込むのを横目で見た。
店の入口に行くとバックヤードから泉さんが出てきた。
「波瑠様、ご自宅までお送りしますか?」
「大丈夫です。今回のこと、ありがとうございました」
心を込めてお礼を言う。この人がいなかったら私はこれからずっと下田くんに苦しめられるところだった。泉さんは優磨くんの恋人である私も大事にしてくれた。
「優磨さんのこと、ありがとうございました」
「いえ……もう会うこともないのですけど、優磨くんは大丈夫だと思います」
今までのようにカッコいい優磨くんでいてくれるはず。お父様の決めた婚約者がそばにいるのだから。
不思議そうな顔をする泉さんにもう一度お礼を言って店を後にした。