同期の御曹司様は浮気がお嫌い

「送ってくれてありがとう……」

車から降りてマンションに足を向けると優磨くんも急いで降りて私の行く手を遮った。

「波瑠、やっぱりこのまま俺のところに戻ってほしい」

「え?」

「今すぐ俺の部屋に連れて帰りたい」

「できない……さっきの優磨くんを見て増々そう思った」

強引に手を掴まれた。強引に車に乗せられた。

「波瑠を幸せにするから! 信じて!」

「どう信じたらいいの?」

視界が霞む。目が潤んできた。

「私のことを信じられないって言って突き放したのは優磨くんなのに、信じてなんて……私には無理だよ……」

目に溜まった涙が瞬きと共に頬を伝った。

「怒った優磨くんが怖い……強引な優磨くんが怖い……愛されるのが怖い! 嫌われるのが怖い!」

「本当にごめん……できることなら時間を戻したいよ。俺がバカなことをやる前に」

突然抱き締められた。望んでもいない行動に驚いて体がピクリと動く。

「怖がらせてごめん……勘違いで怒ってごめん……どんな波瑠も、もう嫌いにならないから」

「放して……私たち離れた方がいいんだって。うまくいかないから……」

「波瑠が離れたくても俺は無理なんだ。もう波瑠の前だと余裕なくなる」

「私、汚いから触らないで……」

優磨くんの嫌いな穢れた女だから、もう私を解放して……。

「波瑠、俺と浮気して」

「え?」

「二番目でもいい。俺が浮気相手でもいいから、波瑠が欲しい」

切実な声に涙がとめどなく溢れる。
優磨くんも、そんなことを私に願うの?

「他の男を好きでも、俺に気持ちがなくても、ほんの少しの時間でもいいから波瑠のそばにいたいし触れたい。俺は波瑠がいないとボロボロになる……」

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