同期の御曹司様は浮気がお嫌い
「俺の話を聞いてくれなかったから。波瑠は耳を塞いだ」
そう、私は優磨くんの話を拒否した。だって私がそうされたのだから。
「波瑠への一生の愛を証明できるまで待っててって言ったでしょ」
確かにそう言った。なのに勝手に優磨くんは私から離れたと思い込んでしまった。
「でも確かに証明するなんて難しいよ。結婚しか思いつかなかった」
「難しいことを言ってごめんなさい……」
「俺の決意とか気持ちを証明するなんて、それこそ一生かけないと無理なんだって。だから今すぐにはこんな形でしか証明できない」
「証明しようとしてくれただけで嬉しい……」
「でも俺は波瑠を前にすると気持ちが抑えられない。波瑠に触れたくて仕方ない。だからたくさん波瑠を怒らせるかもしれない……」
これまで何度も強引な優磨くんに戸惑ってきた。
「無理やりは確かに嫌なんだけど、もっと嫌なのは優磨くんが他の女性に行っちゃうこと……」
「こんなに波瑠を愛してるのに俺が他の女と結婚するって思ったの?」
「美麗さんが……」
「姉さん?」
優磨くんはチャペルの入り口を見て目を見開いた。美麗さんと泉さんが私たちを見て微笑んでいる。
「やっと結婚ね。ここまで焦れったかったー」
「姉さんが波瑠を連れてきたの?」
「そうだよ。泉ちゃんがここに居るって教えてくれたから波瑠ちゃんを連れてきたの」
「泉さん……」
泉さんは優磨くんに向かって頭を下げた。
美麗さんが泉さんから離れて私たちに近づき横にしゃがんだ。
「波瑠ちゃんどうだった? 結婚式を壊した気分は」
優磨くんは呆れて溜め息をついた。