同期の御曹司様は浮気がお嫌い
テーブルにお皿を並べて「メリークリスマス」と言ってワインのグラスとノンアルコールカクテルのグラスをカチンと軽く当てた。
「これ全部波瑠が作ったの?」
「うん、お店には負けるけど」
「本当に波瑠は料理が上手だね」
優磨くんに褒められると嬉しい。
「あのね優磨くん、私からクリスマスプレゼントがあるの」
私は引き出しにしまった包みを優磨くんに渡した。
「あ、ネクタイ?」
優磨くんは私が選んだネクタイを首に当てる。
「あんまり持ってない色がいいかなと思って。似合うか不安だったけど優磨くんによく似合う」
「ありがとう。すごく嬉しい」
お世辞じゃなくて優磨くんが本当に嬉しそうだからほっとする。
「俺も、波瑠に渡したいものがある」
優磨くんはソファーに置いたカバンから細長い箱を取り出した。
「婚約指輪と合うようなものを選んだんだ」
そう言って箱を開けると中にはダイヤモンドのネックレスが入っている。
「こんな素敵なものをもらえないよ!」
私はネクタイなのに価値が違う。
「波瑠に相応しいから」
優磨くんは私の背後に回って髪を寄せ首にネックレスをつける。そうして屈んで私のうなじにキスをした。
「ちょっ……優磨くん!」
「ごめん、食後まで待てなくて」
顔が真っ赤になる。食後に何をするつもりなのか遠回しに知らされて照れないわけがない。
優磨くんが座って食事を再開する。けれどその内私はいい気分になってきた。
「波瑠?」
優磨くんの声が心地いい。
「なーにー?」
「顔赤いけど大丈夫?」
「うーん」
さっきうなじにキスをされてからまだ赤くなったままなのだろうか。
「一応確認なんだけど、今飲んでるそれはノンアルコールだよね?」
「そうだよー、また酔っちゃわないようにもう禁酒するんだもん……」
グラスのカクテルを口に含む。
「ほら、ジュースだから……」
優磨くんは立ち上がってゴミ箱の缶を確認した。