同期の御曹司様は浮気がお嫌い

「明日車で会社に送っていこうか?」

「いいよ! 大丈夫!」

優磨くんにそこまでしてもらうわけにはいかないから慌ててしまう。

「そう……。俺部屋を片付けて寝るから、安西さんは自由にお風呂入ってね。ベッドは前の住人が持って行ったから、今あるのは俺が買ったものだよ。知らない人が使ってたものじゃないから安心して」

「ありがとう……」

そうだとしてもそのベッドを使うのは気が引ける。

カップを流しに置いた優磨くんは「おやすみ」と言って廊下の向こうの部屋に行ってしまった。

リビングに残された私は部屋を見回す。
私の部屋の総面積よりも広いリビングは落ち着かない。バルコニーに続く窓は大きくて夜景がきれいだ。

寝室のベッドは優磨くんの一人暮らしにしては大きいから以前の住人というのはもしかしたら女性で、優磨くんの彼女だったのではないかと思う。この部屋は彼女と同棲していて、別れたから一人なのかもしれない。
そう思うとベッドで寝るのも躊躇われる。

優磨くんはもうリビングに戻ってきそうにないし、今夜はソファーで寝ることにした。
お風呂もいいや。明日の朝早くアパートに戻ってシャワー浴びてから出勤しよう。
きっと優磨くんも今夜は同情心で泊めてくれたんだろうけど、気が変わったら私を追い出すだろうし。





次の日の朝早くに小さめに設定したアラームの音で目を覚ます。優磨くんは起きている気配がないのを確認すると静かに荷物を持って部屋の外に出た。

アパートに帰ってシャワーを浴び、身支度を整え外に出る。優磨くんのマンションはオートロックだから大丈夫だと思うけど、部屋の鍵をかけられなかったお詫びをLINEする。

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