同期の御曹司様は浮気がお嫌い
「でも出世すれば表面上誰も文句は言わないでしょ。だから俺は会社で上に行く。そうしないと意思を通せないから」
「優磨くんの通したい意思って何?」
そう聞くと「内緒」と微笑む。
「教えてくれないの?」
「まだダメ」
含みを持った言い方だけど、私は優磨くんが教えてくれるまで待とうと思った。
お風呂から出ると優磨くんがリビングで誰かと電話をしているような声が聞こえた。
「だからそれはタイミグがあって……今一緒に住んでる……そう、姉さんが無理やり連れてきたんだ……」
悪いと思いつつも聞き耳を立ててしまう。だって私の話をしているようだから。
「泉さんは悪くないよ。姉さんを家から出したのが悪いんだ。そっちを怒るのが先だよね……うん、真剣だから……」
こっそり覗くとソファーに寝転んだ優磨くんは「あの話は断ってほしい。今ならまだ相手の人も悪くは取らないでしょ?」と電話の相手にお願いしているようだ。
「そのうちきちんと紹介する……だから本気なんだって……姉さんと一緒にしないでよ……うん。じゃあね」
通話を終えると溜め息をついた優磨くんに近づいた。
「優磨くん……なんかごめんね、今日やっぱり私が会社に行っちゃいけなかったよね……」
「違うよ。怒ったり困ったりしてるんじゃなくて……まあある意味大変なんだけど」
「ごめんなさい……」
「波瑠は悪くない。今日波瑠が会社に顔を出したっていうのが父の耳に入ったってだけ」
「何かまずかった?」
大事な跡取りの恋人が私では問題があるのだろうか。
「ううん、父に恋人がいることを言ってなかったから。泉さんにもまだ話さないでほしいってお願いしてたのは俺だし」