同期の御曹司様は浮気がお嫌い
「やっぱり私が恋人だとは言いにくいよね……」
「違う! 俺が力不足なんだ」
「え?」
「波瑠おいで」
優磨くんがそばに来るように言うから近づくと、手を引かれ優磨くんの上に倒れるようにソファーに寝転ぶ。
「波瑠が恋人だって言い切れないほど俺がまだ力がないから……」
「そうなの? だって優磨くんは部長なんでしょ?」
この若さでそれだけの役職がつくのはすごいことなのではないだろうか。
「社長の子だからね。古参を差し置いて転職してきた若造に役職が付いたら周りは良い気はしないだろうね。しかも恋人が会社に来ればいろんな憶測が飛ぶ」
それもそうだ、と自分の軽はずみな行動を反省する。
「本当にごめんなさい。もう優磨くんに許可を取らないで会社に行くようなことはしないから」
不安な顔をする私に優磨くんは微笑んで頬に手を添える。
「怒ってるんじゃないんだ。今の電話は母なんだけど、恋人がいるならなんで紹介しないんだって怒られただけ。だから波瑠は気にしないでね」
頭の後ろに手を回され、軽く押されると顔が優磨くんに近づきそのままキスをした。
「落ち着いたら親に紹介してもいい?」
それは嬉しいことだ。でも不安でもある。
「私でいいのかな……ご両親はがっかりするかも……」
「がっかりなんてしないよ。俺が文句なんて言わせない。そのためにもっと上に行くから」
優しく頭を撫でられる。そうされると優磨くんに守られているようで安心する。
「てかさ、親に紹介するってことがどういう意味か理解してる?」
「ん?」
「俺的には将来を考えてるから親に紹介するんだ。今まで彼女を会わせたことないからね」
この言葉に顔が赤くなる。