同期の御曹司様は浮気がお嫌い

既に頼んでしまっていた三杯目のワインを飲んだところで眠気が強くなってきた。もう本当にやめた方が良さそうだ。

「波瑠?」

「んぁ……はい……」

「目がトロンとしてるよ?」

「大丈夫……まだ意識あるよ……」

自分では笑顔を見せたつもりでも優磨くんは増々心配そうな顔になる。

食事を終えてレストランを出ると足取りがおぼつかない。横にいる優磨くんの腕が私の腰に回る。

「波瑠、飲みすぎはダメって言ったばかりだよ?」

「ごめんらさい……もーやめるからぁ……」

自分では大丈夫のつもりでも口がうまく回らない。
優磨くんが小さく溜め息をついた。それに焦って優磨くんに抱きつく。

「波瑠!?」

人目を気にしてか辺りを見回す優磨くんに申し訳なくなる。でも優磨くんから離れたくないと思ってしまう。

「ごめんらさい……」

呆れないで。怒らないで。私から離れないで。

「もー大丈夫らから……歩くるからぁ……」

「大丈夫じゃないでしょ。完全に酔ってる。呂律も怪しいよ」

「ゆーまくん……おこってる?」

手を上げて優磨くんの顔をぺたぺた触る。

「こら、波瑠……」

指が唇に触れると優磨くんは嫌そうに顔を逸らした。

どうしよう……本当に怒っているのかもしれない。

「ゆーまくん、ごめんらさい……」

足がふらふらする。倒れないようにより一層強く優磨くんに抱きつく。

「波瑠……部屋取る?」

耳元で囁かれ体が熱くなってくる。

「へや……ホテルの? ゆーまくんとお泊り?」

「そうだよ、お泊り」

面白そうな声で囁くから私は優磨くんの首に唇をつける。

「ちょ……波瑠、まだだめだよ」

優磨くんが困っているけれど体中が熱くて首にキスするのを止められない。
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