同期の御曹司様は浮気がお嫌い
「お取り込み中お呼びして申し訳ありません」
「いえ……」
私も優磨くんも顔を真っ赤にする。
お互い夢中になって求め合ってしまった。いい大人なのだから場所を考えないといけなかったのに。
「リゾートの件ですが、明日朝早くからミーティングをしたいと先方が連絡してきました」
「明日……分かりました。俺は大丈夫です」
「それと、商業マネジメント事業部の方でも可能なら明日お話がしたいと」
「そっちは調整します」
「それと、至急返事をしてほしいと言っている部署が……」
私の分からない仕事の話になった途端に眠くなってきた。車の揺れが心地良い。
「波瑠? 眠い?」
「うん……」
優磨くんに頭をもたれていると車が揺れるたびに小さく頭をぶつける。
「ここに寝てな」
そう言うと優磨くんは自分の太ももをポンポンと叩く。吸い寄せられるように頭を載せて横になると頭を撫でられる。私は自然と目を閉じた。
優磨くんの膝枕は落ち着くな……。今夜はとっても幸せ。家に着く前に寝てしまうかもしれない。
「例の件ですが、社長から写真をお預かりしています」
「え? その件は断ってもらったつもりだったのですが?」
「申し訳ありませんが私では何とも……」
「そうですよね……俺から父に言います」
「写真はいかがしますか? 今お渡ししますか?」
「いえ今は……彼女には見られたくありません。明日会社でもらいます……というか父に返してくださいませんか?」
「私では無理でしょうね。社長はまた優磨さんに渡せと言うでしょう」
頭上で優磨くんの溜め息が聞こえる。
私では二人の会話はさっぱりわからないけれど、きっと深刻な話なのだろう。