同期の御曹司様は浮気がお嫌い
優磨くんが驚いたような声を出す。視界が霞む中、優磨くんも熱いだろうと思ってスーツを脱がせようとする。
「波瑠! ちょっと待って!」
焦っている声も怒っている声も、優磨くんのならどんな声音でも大好き。それを伝えたくてひたすら「大好き」と呟いた。
体に纏わりつく布を取ったら床につく背中がひんやりして気持ちいい。いつの間にか優磨くんも服を脱いでいて、私の首や胸にキスをする。肌が直接触れ合うところは温かくて、繋がった下半身は私と優磨くんの体の境目が曖昧になる。
一定の間隔で体を揺すられてプツリと意識が途切れた。
「波瑠……波瑠!」
肩を軽く叩かれて目を開けた。
「波瑠、起きて」
優磨くんの声のした方に顔を向けると、シャツを着ながら私を見下ろしている。
「ん……おはよう……頭痛い……」
頭がズキズキと痛む。喉も乾いていた。
体を起こそうと布団をめくると自分が裸なことに気がついた。
「あれ? 何で裸?」
「昨日の夜の自分の行動を覚えてないの?」
ベッドの端に腰かけた優磨くんは呆れた顔で私を見ている。
「えっと……優磨くんと食事して、泉さんが迎えに来てくれたような気がする……」
「それから?」
「……思い出せない」
とにかく頭が痛い。どうしてこうなったのだろう。
「思い出せないなら玄関からここまでに脱ぎ捨てられた服を回収しながら思い出してね」
「え?」
「波瑠が昨夜どんなに酔ってたか思い知ってほしいよ。敢えて片づけないでそのままだから」
優磨くんはリビングに行ってしまったので、私はベッドから下りると服を探す。寝室には着ていたであろうパジャマや下着がない。戸惑いながら取り敢えず毛布を体に巻く。