翠玉の監察医 消されるSOS
蘭は軍人との特訓でしたことを思い出しながら、相手に負けないスピードで追いかけていた。しかし、ブローチに木の枝が当たってしまい、ブローチは月明かりに照らされて緑の光を放ちながら地面に落ちていく。

「ブローチが!」

蘭は地面に落ちる前にブローチを手にしたものの、その数十秒の間に人の気配はなくなっていた。

翌日、蘭はこのことをゼルダたちに話してみた。すると、ゼルダたちも「最近、視線を感じることがある」と驚いたのだ。

「じゃあさ、俺たちを見ている奴を捕まえない?」

アーサーの提案に、マルティンが「まあ泥棒とかだったら嫌だしな」と賛成する。蘭はマルティンの言葉に首を傾げて言った。

「あの人影の大きさから見て幼い子どもです。そこまで危険視する必要はないと思います」

ここがもしも戦場ならば、例え老人であっても子どもであっても危険だ。しかし、安全な国と言われている日本で幼い子どもの犯罪者などいないだろう。
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