翠玉の監察医 消されるSOS

「あんた、剣道部だったの！？」

ゼルダが驚き、圭介は「驚くのそこですか？」と苦笑する。蘭は圭介を見つめ、圭介の手を取って言った。

「ありがとうございます。私が解剖をしている間は、盗聴器のことをよろしくお願い致します」

「い、いえ……。神楽さんのお役に立てるよう、頑張ります」

顔がトマトのようにさらに真っ赤になっていく圭介を見て、ゼルダたちがニヤニヤ笑う。その時、碧子が手を叩いた。

「空くんのことはとりあえず、これで様子を見ましょう。今日も解剖がたくさん入ってますよ〜」

「はい、必ず死因を究明致します。法医学の、希望に」

碧子の言葉に笑っていた全員の顔が真剣なものになる。死者と向き合うのが彼女たちの仕事だ。

今日も蘭は監察医としてメスを手にする。



空に渡した盗聴器から聞こえてくるのは、真希の冷たい言葉ばかりで、虐待の証拠は数日する頃にはしっかり集まっていた。

「こいつなんて産まずに堕ろせばよかった」

「あんたに食べさせる飯なんてないよ」