トラップ教室
「この教室で何をしろって言うんだ?」


大祐が眉間にシワを寄せて教室内を見回した。


幸いにも電気がつているので教室内は明るい。


ザッとC組の中を見回してみても、そこはE組とさほど変わらない。


ただ異質だと感じるのはやけに机と机の間が狭いことだった。


「C組ってこんなに生徒の数が多かったっけ?」


あたしは近くの机に触れて呟く。


ザッと数えただけでも机の数が50くらいはありそうだ。


40人でほぼ一杯になる教室に、これだけ机を押し込めたら窮屈でしかたない。


その上、それぞれの机の上には花瓶が置かれているのだ。


花が飾られていない花瓶を見ると余計に気味の悪さを感じた。


見なれた教室のはずが、今は異空間にいるような感覚になってくる。
< 111 / 273 >

この作品をシェア

pagetop