トラップ教室
教室の前方の床を覆い尽くすように散乱した勉強道具は、誰かが意図的にそうしたとしか考えられなかった。


これを見たからミチルは足を止めたみたいだ。


教室前方……教卓の下あたりから響の声は聞こえ続けている。


「危ないかもしれないぞ」


後ろから大祐が声をかけてきた。


「相手は簡単に梓を殺したんだ。俺たちのことだって、きっとなんでもないように殺すと思う」


大祐の言葉にあたしは頷いた。


もう少しで響きを助けられそうな場所まで来ているのに、この先に進むべきかどうかわからない。


とにかく、この散乱した文房具を片付けながら進んだ方が安全かもしれない。


「あ!」


その時だった。


不意に太一が声を上げ、目を丸くして床を見つめた。
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