トラップ教室
誰のものかわからない教科書やノートを踏みつけて、『創作ノート』に手を伸ばそうとしている。


「おい太一、危ないぞ」


大祐が声をかけるが、太一は「大丈夫そうだから」と言ってきかない。


一歩一歩足を踏み出し、『創作ノート』に近づいていく。


そのノートがどんなものなのかわからないけれど、太一にとって特別なものなのだろう。


「本当に大丈夫そうだよ」


太一の行動を見てミチルが呟く。


今のところ教室内ではなにも起こっていないし、あたしと大祐が少し敏感になりすぎているだけなのかもしれない。


この花瓶とか散乱した文房具は、あたしたちを惑わせるための道具だったのかも。


そう思い、あたしは教卓へと視線を向ける。


未だに響の悲痛な声が聞こえ続けている。


たぶん教卓の下にいるのだろうけれど、そこから出てこないということは、体を拘束されている可能性がある。


早く助けてあげよう。


そう思って一歩踏み出したその時だった。


ガシャンッ!! と、安っぽい機械のような音が教室に響いていた。
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