トラップ教室
「太一にはこっちの方がいいかもね」


そう言って母親が持ってきたのは、さっき読んだ本よりも薄くて、大きなサイズの本だった。


表紙がイラストだったこともあり、俺は興味を引かれた。


「児童書っていうのよ。読みやすいから、読んでごらん」


俺は素直に本を受け取り、さっきと同じようにパラパラとめくってみた。


さっきの本は文字ばかりだったけれど、今度の本は沢山の挿絵が入っていることがわかった。


「これも小説?」


「そうよ。小説には色々な種類があるの」


「へぇ、そうなんだ」


小説なんてみんな同じようなものだと思っていた。


ただ、恋愛とかホラーという違いがあるだけだと。


でも、そうじゃないのだとわかった。


小説は読む人の年齢に合わせて書かれている。
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