トラップ教室
自分の年齢に合った本を選べば、俺でも飽きることなく読み進めることができるのだ。


母親が貸してくれた本は5人の少年たちの冒険物語だった。


冒険と言っても剣を持っていたり、魔法が使えたりするわけじゃない。


もっと身近で、俺にでもできるような冒険だ。


近所の犬のポチを散歩に連れ出すとか、廃墟になっている家の庭でキャンプをするとか。


身近なもので冒険をする主人公たちを見て、俺はあっという間に物語の世界に入り込んでいた。


「ねぇ、この前の本まだないの?」


数日かけて一冊を読み終えた俺は、さっそく母親にそう聞いた。


「あら、気に行ったの? あれはシリーズになっているから、今度本屋さんへ行きましょうか」


そう言われてから本屋へ行くまでの間、俺は楽しみで仕方がなかった。


本の中の彼らが今度はどんな冒険をするのか。


どんな楽しい物語が待っているのか。


わくわくした気持ちを止められなかった。
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