トラップ教室
答えられずに戸惑っていると、先輩が笑顔になった。


「別に気負う必要はないんだ。ただの趣味で書いてみればいいんだから」


そう言われて、「あ」と呟いた。


そう言われてみればそうだ。


誰も俺の小説にプロと同様のものを求めているわけではない。


ただ、書きたいものを書く。


それでいいんだ。


先輩の一言で俺の視界は一気に開けた。


そこから俺の執筆活動は始まった。


中学時代では文芸クラブに入り、沢山の作品を書いてきた。


そのどれもが短い作品ばかりで、本にするにしては分量が少なすぎる。


そう思った俺は、高校に入学してからは文字数を気にして書くようになった。
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