トラップ教室
途端に焦りと怒りがこみ上げてくる。


太一も大祐も死んでしまって、残っているのはあたしとミチルしかいないのだ。


ミチルを置いて行けるわけがなかった。


「一緒に教室から出るんだよ!」


叫ぶと、自分の声がひどく震えていた。


きっとミチルは助からないと、心のどこかで感じていたのかもしれない。


あたしは教室の中を振り返り、確認する。


やけに狭められていた通路。


すべての机の上に置かれていた花瓶。


それらが無意味なものだなんて、思えなかった。


やはりあれもなにか意味があったのだ。


そしてミチルは机にぶつかり、花瓶の水に触れてしまっている。


その水がもし、猛毒だったら?


時間が経過するにつれて体内へ侵入し、命を奪ってしまうものだったら?
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