トラップ教室
「いた!」


「え、いたの?」


入学してまだ一ヶ月だ。


早くもお目当ての男子を見つめているなんて、さすが優香だった。


「どんな人?」


あたしは身を乗り出して聞く。


「2年生の人なんだけどね」


優香の言葉にあたしは頷く。


やっぱり先輩なんだ。


「中条先輩っていう人でね」


知らない名前だったけれど、あたしは大きく頷く。


優香が言うには、その中条先輩というのは生徒会の書記を担当しているらしい。


かと言って頭が固いわけでもなく、臨機応変な部分もあるし、遊び心もある。


先生や生徒からの評判もよくて、成績優秀ということらしい。


そんな完璧人間がいるのかと思って、あたしは首をかしげた。


もしかしてそれって、優香の妄想じゃないの?


「ミチル。あたしの妄想だと思ってるでしょ?」
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