トラップ教室
でもそれだとおかしいのだ。3年生の教室は3階にあるから、この下は2年B組の教室になっているはずなんだ。


こんな近い距離で物音が聞こえてくるなんて、ありえない。


ゴトッ。


だけど確かに聞こえてくる音。


俺は体を起こし、指先で丁寧に床を確認し始めた。


なにか見落としがあるのかもしれない。


板と板との継ぎ目に指を這わせていたとき、少しだけ板が浮いている場所があるのがわかった。


これくらいの歪みなら、普段歩いていても気がつかないかもしれない。


だけどその真下から音が聞こえてきているように思えて、俺は歪んだ板と隣りの板の継ぎ目に爪を引っ掛けた。


そのままグッと上に向けて力を込める。


その時だった。


ガタッと音がして、歪んだ板一枚が横へずれたのだ。


「えっ!?」


思わず声を上げ、唖然としてそれを見つめた。
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