トラップ教室
板一枚分が空洞となり、俺の心臓は更に早鐘を打ち始める。


床の下は真っ暗でなにも見えない。


俺は続けて隣りの板にも指を引っ掛けた。


こちらもカタッと小さく音を立てて外れていく。


「嘘だろ、なんだよこれ」


背中に汗が流れていくのを感じた。


2枚の板が外されて、俺の顔くらいなら突っ込めそうなくらいのスペースができている。


更に隣りの板を外した瞬間。


目が合った。


床下の暗闇に浮かんでいる白い2つの目。


その目はひどく充血していて瞼も腫れている。


「ギャアア!」


突然のことで悲鳴を上げ、その場に尻もちをついてしまった。


床下の目が何度も瞬きを繰り返し、ブンブンと左右に首を振るのが見えた。


え……?


起き上がり、近づいて確認してみるとそれは体を拘束され、猿轡をかまされた響だったのだ。


俺は大きく目を見開いて駆け寄った。


「響!」


響は俺の声に反応し、今度は上下に頷いて見せた。
< 166 / 273 >

この作品をシェア

pagetop