トラップ教室
「今助けてやるからな!」


俺はそう言うと両手で響の体を引っ張り出す。


響の体は三角座りの状態で麻布で覆われていて、自分では立ちあがることもできなかったのだ。


どうにか響の体を床下から引っ張り出すと、そこにはひとひとりが座って入れるだけのスペースが現れた。


これじゃ少しも動けなかったことだろう。


響はグッタリと横倒しに倒れこんでしまった。


「大丈夫か?」


声をかけながら麻布から響を引きずり出す。


響の手足はロープで頑丈に括りつけられていた。


俺はまず響の猿轡を外してやった。


すると響は大きく息を吸い込み、そして吐きだした。


「どうしたんだよお前。なんでこんなことになった?」


俺の質問に響はむせ込みながら左右に首を振った。


「……わからない」


いつからここに拘束されていたのだろう。


響の声はまるで老人のようにしわがれていた。


俺はどうにか手足の拘束を解き、響を立たせた。


「足が……痺れて……」


「わかってる。ゆっくりでいい」
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