トラップ教室
「入力する数字は613?」


優香が聞いてくるので、あたしは曖昧に頷いた。


他に数式がないか黒板を隅々まで確認するが、それらしき問題は見当たらない。


「でもあまりにも簡単だよな」


今までの経験を踏まえて秀が顎に手を当てて言った。


「そうだよね。どこか別の場所に数式が隠れてるのかもしれない」


そうとしか考えられなかった。


試しに教卓の下に入り込んで上を見上げてみる。


しかし、なにも書かれていない。


机の上、ひっくり返して机の下。


同様に椅子を確認していく。


手分けをして調べているだけでも水嵩はどんどん増えていき、あっという間にあたしの膝まで到達していた。


まだまだ調べ足りないと思いながらも、タイムリミットの少なさに焦り始める。


ロッカーの中、ロッカーの天井、扉。


様々な場所を調べてみても、やはり数式は出てこない。


あたしたちは水をかき分けるようにして教卓の前へと戻ってきた。


「何か見つけた?」


その問いかけに3人とも左右に首をふる。


あたしはそれを確認した後、黒板へ視線を向けた。
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