トラップ教室
x+9=15


x-7=6


そのふたつの計算式をジッと見つめる。


なにかのひっかけ問題ではないかと思って首を横にしたり、立て読みにしてみたりを繰り返す。


しかし、なにかがあるようには思えなかった。


「そろそろ数字を入力してみよう」


そう言ったのは響だった。


「うん……」


わかっている。


宝箱の電子パネルに数字を打ちこまないことには、前に進めないのだ。


頭では理解しているのけれど、それを行動に移すには勇気が必要だった。


響はあたしたちがどんな風にしてここまで辿りついたのか、実際には目にしていない。


友人たちの屍を見ても、まだどこか余裕がある感じがするのだ。


あたしは頷きながらもその場から動くことができずにいた。


答えは613。


パネルに打ち込む数字は三桁。


なにも迷う必要はない。


けれど動けない……。
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