トラップ教室
呆然と立ち尽くしている間にも水は流れ続けていて、今ではあたしの膝上まで濡らしている。


このままじゃいけない。


早く、行動しなきゃ……。


焦る気持ちに背中を押されて電子パネルに手を伸ばした時だった。


「早くして!」


そんな声がして、優香があたしを押しのけたのだ。


両手で押されたあたしは体のバランスを崩して水の中に転んでしまった。


「夏海!」


響が慌てて助け起こしてくれる。


どうにか体を起こすが、頭までずぶ濡れだ。


「おい優香――!」


響が優香へ文句を言うために勢いよく振り向いた。
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